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「いたた………」
日頃滅多にしない寝る前のストレッチ。
でも今日ばかりはしとかないと明日が心配すぎる。
なんせ今日だけで一生分は転んだんだから。
あの後あいつとスケジュールを重ね合わせた結果、
お互い受験生に私は家の手伝い、あいつはバイトがあって、練習時間は早朝と体育祭の前日のみ。
残された時間は少ない。
「はぁ」
時間が少ない事を嘆いてるんじゃない、あいつとのコンビネーションが上手く行かない事を嘆いている。
あいつと組むと聞いた時は胸が高鳴った。
まさに残り物に福がある。
最後の年の体育祭をあいつと一緒に出来る。
私とあいつは見えない何かがあるって、そう思った。
でも今は、あいつの事を諦めさせようと運命の女神とやらが仕向けた事なんじゃないかとすら思えてくる。
私とあいつは息が合っていない。
あいつと知り合って、いっぱい喧嘩して、あいつの過去を知って、私はあいつの事をなんでも分かってる、そんな自信が今日音を立てて崩れたのだ。
他のライバル達ならどうだったんだろう。
やっぱりあいつと華麗なコンビネーションが出来たのだろうか。
あんなに息が合わないのは私だけなんだろうか。
そんな事ない!
絶対ない!!
否定はするものの、それを覆す証拠を見つけられない。上がってくるのは肯定する証拠ばかり。
「……なんでよ………」
目の前の風景がにじむ。
また泣いてる
こんな事で
たがだか二人三脚で
すごい悔しい
その夜は疲れていたはずなのに私は中々眠る事が出来なかった。