「ちょ、ちょっと………、もういいんじゃない?」

「そうだな、今日はこれくらいにしてやるか」

 かがみの言葉にオレも力強く頷く。



「うわ〜そんな使い古された負け惜しみをまだ言う人がいたんだ」

『うっ………』

 目線を明後日の方向に向けるオレとかがみ。

 その姿は泥まみれ。



 あの後何度も練習を続けたが、転ぶ、転ぶ。

 多分見ている方は並みのバラエティ番組よりも面白かっただろうけど、こっちとしては全く面白くない。

 全身は痛いし、完全に疲労困憊だ。

「結局まともにゴールしたのは一回だけだったね」

「お姉ちゃん、シンちゃんタイム聞く?」

 オレとかがみはいらないの意味を込めて小さく手を振る。

 そもそもゆっくり歩いてゴールしたタイムなんて、なんの参考にもならない。





「これは予想外ですね」

 へたり込んでるオレ達に変わって、足かせを解いてくれているみゆきが心配そうな顔で見てくる。

「だね、タッグでビックボンバーズにすら負けるレベル」

「どうしよ〜う?」

「……練習しかないじゃない」

「……だな」

 溜め息が重なる。



 ショックは期待があればあるほど、大きくなる。

 恐らくかがみもオレと同じで、華麗なるコンビネーションをこなた達に見せ付けられると思っていただろう。

 だが結果は急造コンビよりもひどい。お互いの息が全く合っていない。



 オレとかがみの仲って表面上だけのものだったのか?



「そうですね! 練習をすればきっとお二人の事ですから、すぐですよ!」

「うん、うん、お姉ちゃんもシンちゃんも運動神経がいいからきっとすぐによくなるよ!」

「そうそう、それに練習はパワーアップイベント、主人公には必須イベントだよ」

 オレ達二人の様子を見兼ね、みゆきとつかさだけでなく、こなたすら励ましの言葉を送る。



「なると思う? あんなんで」

 超現実的なかがみの言葉にいつもならツッコムところだけど、今回ばっかりは疲労と正論の為それも出来ない。



「……さあな………」



 せいぜい今のオレには寝そべってそう呟く事しか出来なかった。





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