図書館での作業が終わると、目指す先はオレの家。

 図書館からオレの家までそう距離はないけど、太陽が目の前に落ちてくる紅葉の様な色になってるところから推測すると、

着くのは日暮れってとこだろう。

「あっ、シンこっち、コンビニ」



 気を遣いすぎだよな



 突如として進路を変更するかがみ。

 でも本当の理由は、このまま行くとオレの過去を思い出す景色が広がるところに出るから。

 かがみにオレのことで余計に気を回して欲しくはない。

 ただせっかくのかがみの好意だ、無下にはしたくない。



 過去は中々越えられない

 それこそ見たくない、思い出したくないものなんてありすぎる。

 それでも最近は『ありすぎる』から『まあまあある』へと減っている。



 そしてかがみが側にいてくれたら、いつかは



「またか、太るぞ」

「う、うるさいわね!」

 だからお礼はまだ言わないから



 ズンズンと銀杏や紅葉を踏み分けて前に進む彼女に、オレは気付かれないように肩を竦めた。





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