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やっぱり、ポップコーンもう一つ頼んだ方が良かったかも………。
私は私とシンの間に置いてある。ポップコーンを恨めしそうに見る。
本当は一人一つ欲しかったのだが、流れ的にシンがお金を出す雰囲気だったので、
わがままを言うわけにいかなかった、シンはなんか怒ってるみたいだし………。
付き合う前からも皆で出かけたり、二人で出かけたりしたことは今までも何度かあったけど、シンに置いていかれるのは今回が初めてだった。
シンは口では文句を言いながらも、私達と歩いている時は、歩く速度を合わせてくれていた。
だからさっきのシンの行動には驚きもあったし、ややむっともした。
文句の一つも言おうと思ったけど、元々私は遅れてきてしまったのが悪いんだし、
ここで喧嘩をして初デートが台無しになるのは嫌だったから………。
映画の内容はアクション物。別に内容はどんなものでも良かった。
ただ純愛物を見れば、終わってからシンの顔を見れるかどうか。
そう思えば、これは正解といえるかもしれない。
「あんな事するより、最初に………」
何やら小声で主人公のアクションにチェックを入れるシン。
この世界に来てゆるくなったとはいえ、シンは元軍人だし、そういうところは気になるんだろうけど………
それを言ったらお終いでしょ?
そう突っ込もうと思ったけど、それを言うとシンの気分を損ねるかもしれない。
そう思うと、私は出しかけた言葉を飲み込んだ。
なんか前なら、そんな事笑って言えてたのに
結局そんな事ばかり考えてしまい、映画の内容は私の頭に入ってこずに、私は少しも楽しむ事が出来なかった。