4
「着いたぞ…あれ?」
昨日夜遅くまで考えた末に、初デートなんだし奇を狙いすぎてもどうかと思っての判断から、オレは最初の場所に映画館を選んだ。
だが目的地に着いて後ろを振り返るとかがみがいない。
「シーン!!」
少し後ろからかがみが走ってくる。
しまった、かがみの事を気にかけずに来ちまった!!
「ハァハァ、こ、ここ?」
息を切らして上げたかがみの第一声はオレの予想に反したものだった。
てっきり怒ると思ってたんだけどな………。
「あ、ああ」
不思議に思っていたが、ここでかがみの機嫌を無駄に損ねることもないので、オレは頷く。
「じゃあ入りましょ」
オレにまかせているからか、かがみは何を見るかも聞かずに、映画館に入っていく。
よし、今度こそかがみを楽しませないとな。
かがみの背中を見て改めてオレは気合を入れ直した。
「かがみ、ポップコーンはどうする?」
「えっ? 一つでいいわよ」
映画館と言えばポップコーン、というわけでオレはかがみに味を聞いたのだが、かがみの方は数を聞いたと思ったらしい。
しかし2人で1つって、かがみの日頃を知っていれば妙だ。またダイエットでもしてるのか?
それを聞こうと思ったけど、かがみの機嫌が悪くなって初デートを台無しにしたくはなかったのでオレは黙ってポップコーンを1つ頼んだ。
ただオレは、オレとかがみのやりとりに違和感を感じていた。