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…………。
『プハハハハハハ!!』
一瞬の沈黙から一転、大笑いする二人の姉。
「か、か、かがみって、純情なのねー」
「で、でも、ククッ、ね、姉さん、そこが可愛いって、アハハハハ―――」
いのり姉さんは笑いを堪えながら、まつり姉さんは笑いを堪える事もせず、互いに私をからかう。
「な、なんでよー!?
わ、私とシンは、は、初めてのデートなのよ!?
いきなり、き、き、キスや、ま、ま、ましてそれ以上の事…物事には順序があって………」
段々と声のトーンが小さくなる、もう想像するだけで恥ずかしい。
「かがみ、シン君と知り合ってどれくらい?」
「え? ……私達が二年の夏くらいだから…一年半くらいだけど………」
その時はシンとこんな関係になろうとは、夢にも思わなかった。
最初はすぐに喧嘩を売ってくるし、暗い目をしてたし、変な奴というのが印象だった。
もっとも今となってはその理由も分かってるし、シンが元の世界でやってきた事も知っている。それでも私はシンと付き合う事を決めた。
「そんなに長い事自分の気持ち言えなくて、ようやく言えたくらいなんだから、とっくに順序なんてないわよ」
「うっ………」
痛いところをいのり姉さんに突かれて、私は小さく呻く。
確かに今更順序なんてないかも…そもそもライバル全員が顔見知りってだけでも普通とは違うし………。
「キスか………」
「おーかがみその気になってる、なってる」
「な、なってないわよ!!」
「お母さーん、かがみ今日帰らないかもだってー」
「ち、ちょっと、何言ってんの、あんたは!?」
調子に乗って勝手な事を言い出すまつり姉さんに、私は自分の彼氏の口癖で止めるのだった。
そして翌日
「シーン! ハァハァ、ご、ごめん!」
私は集合時間に遅れてしまった。
理由は着ていく服がなかなか決まらなかったためだ。
それで結局、いつも着てる服とほとんど変わらない服を選んだのだから、お笑い種である。
「ああ、気にするな」
うっ、余裕ある対応…てっきり嫌味を言われると思っていたけど、
……やっぱり二人の初デートとはいえシンは元の世界では彼女がいたんだし、ここらへんは経験の差かしら………。
「よし行くか」
そんな事を考えている内に、シンは私に声を掛けると歩き始めた。
しかし、私はある事に気付いた。歩いているシンの手と足が一緒に出ている事に。