6
「悪い悪い、チーズ探すついでに残った食材を見つけたから、簡単なつまみを………」
オレが戻るとかがみはテーブルの上に手をのせて寝ていた。
ちなみにワインの瓶は空になっていた。
恐らく口当たりが良かったから調子にのって今に至る、というところだろう。
さっきの事謝っておきたかったんだけどな………。
自分でもさっきの行動は酷いと思う。
せっかくかがみがオレのために心を込めて作ってくれたケーキに対して、あんな行動を取ってしまった。
嬉しかった
かがみがオレのために、それこそ苦手なケーキをあんなに綺麗に美味しく作ってくれた。
それに何よりあのケーキはかがみの想いが詰まっていた。
だけどどうしても照れくさくて、あんな行動を取ってしまった。
「やれやれ」
オレはかがみの隣に腰掛けると、かがみの頭を膝にのせる。テーブルよりはよっぽどマシだろう。
目を覚ましたらかがみに謝ろう、そしてお礼を言おう。
毎回毎回かがみを傷つけてから自分した行為の愚かさに気付かされる。
成長しないよな、オレ。
チーズをつまみに唯一残っているグラスのワインで自分への愚痴を押し流す。
視線を下げるとかがみの寝顔が目に入ってくる。
これだけでも誕生日としては十分なのに、オレはもっと素晴らしいものをもらった、反省しろよ。