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「いい、開けるわよ?」
私が持ってきたケーキはつかさに教えてもらったものの、自分の手で作ったお手製だ。
これを見たシンは絶対に喜んでくれるはず。
「ああ、ちゃんとケーキが入ってる事を期待するぜ」
シンはにやにや笑いながら私の言葉に頷く。
な、何よ、馬鹿にして! どうせまともなのが出てこないと思ってるんでしょ!? 見てなさいよ!!
そして私は箱を開ける。
「へえっ」
シンは感嘆の声を上げる。
それだけでケーキのデキの良さは理解してもらえるだろう。
なんてったって夏休みに入ってからこっちはつかさ指導の下、時間を惜しんでケーキ作りをしたのだ。
それも全てはシンに喜んでもらいたいがため。
「かがみにしては良く出来てるじゃないか」
しかし意に反してシンは別段喜ぶ事無く淡々と答える。
な、何よ!? もう少し喜んでくれてもいいじゃないのよ!!
……っと思ったけど、冷静に考えれば二十歳になってケーキを貰っても嬉しくないのかも………。
もともとシンのいた世界では十五歳を越えると大人として扱われるらしい。
だから今更二十歳の、大人と子供の区切りの誕生日を子供みたいに祝われたら迷惑なだけだったのかも………。
なんか馬鹿みたい。
私だけが勝手にはしゃいじゃって………。
シンはもっと大人な誕生日の祝い方をしてもらいたかったのかもしれない。
二十歳だもんね………。
そんなのも分からないなんて私って本当に子供だ。
でもだったらどうしたらいいの? 大人の誕生日ってどんななの?
「――がみ、かがみ!」
「えっ?」
「何ボーッとしてるんだよ、かがみケーキを切ってくれるんだろ?
まさかオレに切れって言わないよな?」
「あ、当ったり前でしょ!!」
私はシンから包丁を受け取ると、自分への怒りをケーキにぶつけた。
ケーキの方は味は満足したらしくシンがほとんど平らげてしまった、私がショックを引きずって、あまり食べなかったのもあるけど………。
でも私は自分なりにはそれを表に出さなかった、シン相手にいつも通り軽口を飛ばしていた…と思う。
ただちゃんとそれをやっていれたのかは確信がなかった。