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「そういえばさ」
食後のコーヒーをすすりながら、オレは話を切り出す。
雑談…という軽いものでもない、かといって重い話というわけでもない。
「お前達、双子って嫌じゃないか?」
「えっ、なんでー?」
「こういう祝い事の時、まとめられる事が多いだろうからさ」
これは少し前から気になっていた事。
オレはもちろん2人をそんなふうに扱ってはいない、かがみはかがみ、つかさはつかさ、そう思ってる。
ただ二人がどう思ってるか、それは分からない。ひょっとしたら2人は一緒に扱われてると感じているかもしれないし。
それが原因でつかさは今日元気がないのかもしれない。
「私は双子で良かったって思ってるし、嫌じゃないわよ。
ただ………」
「ただ?」
かがみは紅茶を飲んで間を空ける。
「やっぱりセットで扱うんじゃなくて、私達一人一人を見て欲しい」
オレをじっと見てくるかがみ。まるでオレが2人をセットとしてしか見ていないといってるかのように。
「なんだよ!? オレがかがみはつかさの双子の姉、つかさはかがみの双子の妹、そうとしか見てないと思ってるのかよ!?」
「思ってないわよ。あんたはそうじゃないって知ってるわよ」
「うっ………」
どうやらオレはかがみにまんまとのせられちまったらしい。
クソッ! なんか物凄く悔しいぞ。
「トイレに行ってくる!」
かがみの言葉を否定する気なんてないし、かといって肯定するのも恥ずかしい。
だから今のオレに出切る事と言ったらこれだけだ。
「ねっ? 私の言った通りでしょ、自信を持ちなって」
「うん、そうだね!」
トイレに向うオレの後ろから2人の楽しそうな会話が聞こえてきた。