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「さてそろそろ行くか」

「待って」

 席を立とうとするわたしたちをお姉ちゃんが止める。

「なんだよ?」

「柊かがみが命じる」

 その言葉にあの人の顔に緊張が走る。

 でもいきなりなんで? それにお姉ちゃん一体なにをお願いするんだろ?



「シン・アスカ! 今日一日、柊つかさの半径一メートル以内にいるように!」

「……えっ? そ、それでいいのか?」

「いいわよ。ほら、返事は?」

「イ、イエス、マイロード………」

 お姉ちゃんの命令の意味が分からず、あの人は首を捻りながら頷く。

 ……ひょっとしてお姉ちゃん、わたしのために………?

 お姉ちゃんのほうを見ると、目が合った。

 それだけでわたしには十分わかった。わたしだってお姉ちゃんの妹を一八年もむだにやってたわけじゃない。



 うん! 午後からはわたしも楽しむね♪





「さて、時間的にここが最後だな」

「東京タワーで最後って遠足じゃないんだし………」

「だ、だってあんまり行く機会ないし〜」

 お姉ちゃんの溜め息交じりの呟きに、わたしはしどろもどろになりつつ答える。

 それになんとなく、デートの最後はここかな〜って思ったから、といってもこれはデートじゃないんだよね



「しかし、展望台に上るまでにどれだけ金取るんだよ! ここは!?」

「シ、シンちゃん…でもほら、夜景が綺麗だよ」

「確かに鷲宮じゃ見れないわね、これ」

 周りにはここより大きいビルもたくさんあるけど、それでも夜景は十分に見に来たかいがあるし、

それになによりあの人と一緒に夜景を見ることができる、それだけで百万ドルの価値はあったの。

(その時どさくさにまぎれてあの人にもたれたのはナイショだよ)



「そう言えばつかさ、お前まだ『ギアス』使ってないぞ」

「あっ、忘れてた」

 お姉ちゃんとあの人のお陰でわたしはすごく楽しめてたから、今のいままで『ギアス』の存在を忘れてたよー。

「使わないと勿体ないわよ」

「うーん………」



 なにをしてもらおう?

 お姉ちゃんはわたしのために使ってくれたんだし、わたしもお姉ちゃんのために使いたいな………。

 それはさっきしてくれたお返しもあるんだけど、やっぱりお姉ちゃんにも喜んでもらいたいから。

 だって今日はわたしたちの誕生日だから♪

 でもお姉ちゃんが喜んでくれそうなこと………。

 そうだ!





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