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「え〜っと、ひ、柊つかさが言いま〜す。
シンちゃん、お姉ちゃんの頭をなでであげて」
「ん? そんなんでいいのか?」
私の時みたいに不思議そうな顔をするあいつ。
だけどつかさが冗談で言ったのではない事が分かると、あいつは頷く。
「イエス、マイロード」
…………。
ってちょっと待てぃぃ!!
「こ、こ、こんな公衆の面前で…く、来るな〜!!」
私は東京タワーの中心で悲鳴らしきものを叫んだ。
なでなで
……なんだろう…やってもらいたい、とは言ったわよ、確かに。
なでなで
確かにつかさが言う様に嬉しい気持ちになる。
なでなで
なるんだけど…それ以上に恥ずかしいー!!
どうしても私の場合照れの方が先にきてしまう。
で、でも仕方ないわよ!! 恥ずかしすぎるわよ、これ!!
し、しかもこんな、ひ、人が多くいるところで………。
なでなで
「も、もういいでしょ!? や、やめなさいよー!!」
私は全身を震わせ顔を真っ赤にしつつ、訴える。
「それはつかさに言ってくれよ」
なでなで
「だーかーらーやめてー!! なでるなー!!」
「だってお姉ちゃん、これをやってほし―――」
「もういい! もういいから! お願いやめさせて〜!!」
私はつかさに懇願する。
これでは新手の拷問だ。
「そう? シンちゃん、スト〜プ!」
「ちぇ、なかなか新鮮だったんだけどな」
つかさの言葉と共に私の頭にあるものがようやく取り払われる。
も、悶死するかと思った………
「さて2人共『ギアス』も使ったし、そろそろ帰るか」
「うん!」
未だ立ち直ってない私を尻目にあいつとつかさは歩き始める。
口は災いの元、昔の人はよく言ったものである。
「おーい、帰るぞ、かがみー」
「わ、分かってるわよ!!」
絶対あいつと付き合う事になっても、頭を撫でさせないようにしないと。
今日十八歳の決意を私はあいつの背中に誓った。