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「お姉ちゃん一つ聞いていい?」
お姉ちゃんは私から手を離して頷く。
怖くて聞けなかったけど、今なら聞ける。
「お姉ちゃん、今日自信あるんだよね?………」
「ああ、あれ?」
少し言葉足らずかもしれないと思ったけど、お姉ちゃんには通じた、さすがお姉ちゃん。
お姉ちゃんは昨日、こなちゃんとゆきちゃんの前であの人との仲がもっと進展するって宣言したの。
しかもお姉ちゃんだけでなく、わたしも。でもわたしには全くそんな自信がない。
「あれは売り言葉に買い言葉というか………」
でも、意外にもお姉ちゃんは苦笑を浮かべたの。
「一晩経つとね、そう考えてる時点でこなたの思う壺って気付いたの。
だから私達の誕生日プレゼントなんだから、ただ楽しんだらいいかなーって、思っちゃってね」
「……それいいかも…うん、わたしもそうするー」
「真似しないの」
「えへへ」
そう言って悪戯っぽく笑ってわたしの頭を小突くお姉ちゃん。
こんなこと言ったら怒ると思うけど、今のお姉ちゃんは凄く可愛い。
「ワルイ、ワルイ。ん? 先に食べてろって言ったのに」
すでに頼んだ料理は全員分が来てたけど、わたしもお姉ちゃんも、手をつけずにあの人を待ってたの。
だって三人で食べたほうがおいしいから。
「でなんだったの?」
「今日バイト入ってくれないかだってさ。
ずっと前から休むって言ってたのにな」
「それってこの日のために?」
「そうだぞ、つかさ
だから有り難がるようにな」
「な〜に言ってんだか」
お姉ちゃんだけじゃなくて、わたしもその中に含まれてる…そう思ってもいいんだよね。
「取りあえず、食べましょ」
お姉ちゃんの言葉にわたしとあの人は頷いた。