6
そして当日、わたしとお姉ちゃん、そしてあの人は都内に来ていたの。
「これいいわね〜」
「生憎だけど、無理だからな」
「まだ何も言ってないじゃない」
「買って欲しいオーラを出してるぞ」
「うっ! ……そんなの出てる?」
仲睦まじく話す、お姉ちゃんとあの人。
最近あの人は前以上にお姉ちゃんに心開いてる気がする…ううん、気がするんじゃなくて、心を開いてる。
二人をずっと見てたわたしには分かるの…どんなことが二人の間であったかは分からないけど………。
でも分かることがあるの、それはお姉ちゃんがわたしのずっと先を行ってるということ。
やっぱりわたしじゃお姉ちゃんに勝てるわけなかったんだ………
あの人とお姉ちゃんは凄く楽しそうだし、きっと周りの人も二人を恋人同士って思ってるよね………
そしてわたしは二人のお邪魔虫、だよね………。
今日はなるべく―――
「ひゃう!?」
突然頬に冷たい物が当たり、わたしは声を上げる。
「どうしたんだよ、さっきから?」
「ほんと、下ばっか向いてるわよ?」
「えっ!? ううん、なんでもないよ〜!」
ごまかしのために手を振るわたし。
駄目だよ…また二人の邪魔してるよ………。
「何か知らないけど、ほら、これ飲んで元気出せ!」
あの人が渡してくれたのは、さっきわたしの頬に当てたメロンソーダだったの。
「遠慮する事ないわよ、おごりだし」
「オレのな。
どうして自分で出したかのように―――」
二人の会話を聞きながら飲んだメロンソーダはとっても苦かったの………。