5
「それはそれは、素晴らしい作戦で」
お姉ちゃんが投げやりにこなちゃんを讃える。
わたしはというと、あまりのこなちゃんの作戦の完ぺきさに言葉が出なかったの。
「ぬぅかがみ、バカにしてるな?
これは最近、何かとクローズアップされてる三国志のかの有名な………
人が使った作戦だというのに!」
「あんた今、その有名な人の名前を忘れただろ?」
「曹操ですね。
これは当時曹操にとって敵対関係にあった、劉備と呂布を………。
そんな事より、かがみさん大丈夫なのですか?」
いつもの詳しい解説を省いてまで、ゆきちゃんが心配そうにお姉ちゃんを見る。
お姉ちゃんはゆきちゃんの言葉ににゃっと笑う。
「大丈夫! その作戦はこなたが言ったのとは違う結果もあるからね!」
「なにそれ?」
「私とつかさの両方ともシンとの仲を発展させて、この戦いに頭一つ抜けるという結果がね!」
「し、しまったぁぁぁぁぁ!! その結果は全く考えてなかったー!!」
頭を抱え込むこなちゃん。
……でも、お姉ちゃんが言ったみたいにできるのかな?
お姉ちゃんはあの人と仲良くなる自信があるみたいだけど、わたしにはそんな自信なんてないよ………
「てなわけだから、つかさ! やるわよ!」
「……えっ? ……あっ…う、うん………」
「ん? つかさどうし―――」
「おーい、ケーキ持って来たぞードア開けてくれー」
お姉ちゃんがわたしに話しかける前に、あの人が戻って来たから、それでこの事はうやむやになったの。
その後はみんなで楽しい誕生日パーティを楽しんだんだよ♪
でもわたしの心の中の不安は消えなかったの………。