私達の誕生日会も無事終わり、私達はあいつの護衛の元家路に着いている。

 こう見えてもあいつは元エリート軍人、そのため並の男なんかより遥かに心強い。

 もっともそれだけではなく、あいつが一緒にいてくれるだけで、私もつかさも嬉しさでいっぱいになる。

 恐らく今日帰ったら夜通しで今日の事についてつかさと語り明かすことになるはずだ。



 私達は高校に入ると、話す時間が減っていた。

 別にそれは私とつかさの仲が悪くなったから、というのではなく、こなたやみゆきの存在が大きかった。

 二人共私達にとっては親友だ、私がつかさと話さなくても、こなたかみゆきのどちらかがつかさと話し、私が別の一人と話す。

もちろん四人で行動する事もあったけど、それに反比例して私とつかさの二人の時間は無くなっていた。

 だけど私はそれが寂しいと思う反面、仕方がないと思っていた。

 年を経つにつれて私達の考え方や趣味は変わっていくものだし、より共通の会話を求めて別の人と話すのは当然だからだ。



 私とみゆきなら勉強や進路、つかさとこなたならのんびりとした日常話や料理の話。

 私とこなたならゲームや漫画、つかさとみゆきなら家での家事の事や穏やかな性格同士。

 私とつかさの間での共通の会話はほとんどなかった。



 ただそんな時にあいつが現れた。

 私とつかさはあいつに惹かれていき、あいつの事が好きになった。

 それが私達の共通の話になった。家に帰ってもあいつの事で話せる人がいる。

 私とつかさはまた元の様に話す様になっていた。

 そして色々な事を通じて改めて私は知った、私はつかさに大事に思われてる事に。

 つかさは度々恋のライバルであるはずの私を助けてくれた。

 私があいつの事で泣いている時は一緒になって泣いてくれたり、励ましてくれたり。

 いつの間にかつかさは凄く強くなっていた。

 そういう意味でもあいつには凄く感謝している。



 でもねー………

 私はつかさの方をちらっと見る。

 ちょっと強くなりすぎ



 つかさはあいつのために日々料理の腕は上がってるわ、前よりも家の家事を手伝う様になってるわ、

同じ家に住んでるため中々抜け駆け出来ないわ、ちょっとずるい手を使おうとしたら良心の呵責が起きるわ、

今や私の最大のライバルと言っても過言ではない状態なのである。

 そして現に今も誕生日会のために私とあいつは二人っきりになれない。

 恐らくこなたやみゆきもそれを見越して今日わざわざ私達にあいつを譲ってくれたのだろう。

 ライバルは手強い奴ばっかりだ。



「どうしたの、お姉ちゃん?」

 つかさは私の視線に気付いて首を傾げる。

 恐らくつかさはこなた達の狙いに気付いていないのだろう。

 だけどその純真さがつかさの最大の武器であり、それは私にはないもの。

 でもだからといって、私は戦いを止めるつもりは毛頭ない。



「負けないから」



 小さい声での改めての宣戦布告。

 あんたの事は私が一番良く知ってるんだから!





戻る   別の日常を見る   進める