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「でもつかさはなんでそう言わないんだよ? 喧嘩したのかと一瞬思ったぞ」
「言えるわけないわよ、私には秘密なんだから」
「へっ? じゃあお前はなんで知ってんだよ?」
「何年つかさと一緒にいると思ってんのよ、つかさの様子なんて見たら分かるわよ
それに………」
そこで言葉を区切るとかがみは自分の鞄から四角のラッピングされた箱を机に置く。
「私もそうだから………」
かがみは照れた時の癖である髪を指で遊ばせる。
日頃つかさのお守りは大変だなんだと言いつつ、つかさを可愛がるかがみ。
そのかがみをなんでも出来る人と尊敬するつかさ。
一見すると、上と下がはっきりしてる様に見える。
でもそんな事はない、この2人には2人だけの空間を持っている。
お互いを助け合い、尊重しあう。お互いが大切な人と思いあってる。
そんな2人の姿を見せられると微笑ましい気持ちになる。
「だから言うの嫌だったのよ。あんたがそんな顔で見てくるし」
「どんな顔だよ?」
「にやけた変態みたいな顔」
「なっ!?」
最もオレだって最初から2人の関係を分かってたわけじゃない。
かがみはこの通りすぐに憎まれ口を叩くし、つかさは見かけが頼りない。
でもそんなパッと見の印象を取り払うくらいに、オレはこの2人と多くの事を乗り越えてきた。
それはオレに取っては大切な日々。そしてこの2人にとってもそうだろうと勝手だけどそう思ってる。
「もうその顔はいいから。
ほら、つかさ携帯と財布を持って行くの忘れたから、追いかけて持っていってあげなさいよ」
この場の空気の恥ずかしさに耐えられなくなったかがみが、家主のオレを追い出しにかかる。
「はいはい、分かったよ
つかさは本当に良いお姉さんを持ったな」
「どーいう意味よ?」
もちろんお世辞とかそんなものじゃない。
オレはかがみの言葉に答えずに外に出かける準備をする。
そんな事はつかさが1番分かっている事だから。