お姉ちゃんの言葉を聞いて、私は瞬きを大きく二度する。

 でもお姉ちゃんはわたしの聞き間違いと思えるくらい、何事もなく前を向いて進んでいく。

 わたしは慌てて、お姉ちゃんに追いつく。

 今の言葉、すっごく嬉しかった。お姉ちゃんと対等にいることを認めてもらった気がしたから。



 正直言っちゃうと、お姉ちゃんはわたしに愛想を付かしたと思ってた時期もあったの。

 だからお姉ちゃんは話が面白くてノリの良いこなちゃんや、難しい話が出来るゆきちゃんと話すんだって、

でもそれも仕方のないことだって諦めてた。



 でもあの人が転校してきてそれは間違いだって分かったの。

 先にあの人を好きになったのはお姉ちゃん。それなのにお姉ちゃんはわたしがあの人を好きになったのを喜んでくれて、応援してくれた。

 それだけじゃなくて、わたしとあの人の間で何か起こると間に立って助けてくれる。

 その時に改めて気付いたの。

 わたしお姉ちゃんにとっても大事に思われてるんだ、って。

 だからわたしもその思いに答えれる様に、少しでもお姉ちゃんの力になろうって決めたの。

 そうしたら、お姉ちゃんとの距離が縮まった…ううん、勝手に距離を置いてたのはわたし、ただ元に戻っただけ。対等な姉妹、双子。

 お姉ちゃんはお姉ちゃんで、でも時々妹で、一番の親友、それで恋のライバル。

 だから負けないわたしも!

 わたしは言葉の変わりとして早足でお姉ちゃんを追い抜いて、少し自慢気にお姉ちゃんの方を向いた。





「ちょっと帰るんじゃなかったの?」

 お姉ちゃんが先を少し歩くあの人に声を掛けたのはあれから少し経ってから。

 お姉ちゃんの言う通りわたしたちは家に帰るはずだったんだけど、なぜか見覚えのない道を歩いていたの。

「まあ焦るなよ、門限まではまだあるだろ?」

 あの人はそれだけ答えると再び歩き始める。

 普通だったら、男の人に知らない場所に連れて行かれるのは怖いけど、わたしはあの人と一緒だから全然怖くなかった。

「もう、これで実は道に迷ったとか言わないでよ」

 お姉ちゃんも文句は言うけど、その様子は全然怖そうに見えない。当ったり前だよねー♪





「着いたぞ」

『わあっー』

 わたしたちは開けた草原に出て、広がる星空に声を上げる。

 お空の宝石箱や〜まるでプラネタリウムみたい。



「この前偶然見つけたんだ。交通の便が悪いのも捨てたもんじゃないだろ?」

 すごーい! こんなに天の川がはっきり見れるなんて………。

「かがみ、つかさ改めて、誕生日おめでとう! これからもよろしくな」

 たくさんの星空を背景にして振り向くあの人にわたしたちは見とれる。

 きっと一人だったら告白のシーンなんだよね。

 と思ったけど、あの人はわたしたちの誕生日を祝ってくれてるんだよね〜嬉しいと残念が半分半分。

 きっとお姉ちゃんもそう思ってる。

 ……そうだ、せっかくだもん!

 わたしはお姉ちゃんとあの人両方から離れた場所に走り出す。

 そして回れ左をして

「お姉ちゃん誕生日おめでとーう!!!」



 わたしの行動にあの人は呆然唖然。

 反対にお姉ちゃんは動じず、わたしと同じ行動を取る。

 そしてわたしとお姉ちゃんとあの人の巨大な三角形が完成する。

 トライアングラ〜

「つかさ誕生日おめでとーう!!!」

 さすがお姉ちゃん、わたしたち繋がってるー♪



「シンちゃーん!!!」

「シーン!!!」

『ありがとうー!!!』

 草原にわたしたち二人の声が響いた。





〜 f i n 〜   






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