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「お邪魔しまーす」
あの人に促されてわたし、お姉ちゃんの順に家に入る。
うわ〜めちゃくちゃドキドキするよ〜
あの人がこなちゃんの家に住んでる時は、あの人の部屋に入るのでも緊張したのに今はそれ以上…でもそれも仕方がないよね?
だってここはあの人の家だもん。
「そうそう、こなたとみゆきは今日無理だってさ…っていうかドタキャンするとは、友達がいのないヤツらだよな」
そんなことない。こなちゃんもゆきちゃんもきっとわたしたちのためにそんなことをしてくれたんだ。
二人もあの人のことを想ってるのに今日はわたしたちに譲ってくれた。
ありがとう、こなちゃん、ゆきちゃん
ふと後ろを見るとお姉ちゃんと目が合った、その瞬間にお姉ちゃんは小さく微笑んだ。
きっとお姉ちゃんも同じことを思っている。
わたしはお姉ちゃんに小さく頷くと、歩みを続け、部屋に足を踏み入れた。
部屋はこなちゃんの家でのあの人の部屋より、ちょっと広いくらい。間取りは全然違う。
でも雰囲気は変わらない。きちんと整理されていて、綺麗。それなのにあの人のにおいがする。
わたしたちの大好きなにおい。
「まあ座ってくれ」
「うん」
答えたのはわたしかお姉ちゃんか分からないくらい、わたしは緊張している。
そう言えばお姉ちゃんの性格から部屋に入ったら絶対一言何か言うはずなのにそれがなかった。
きっとお姉ちゃんも今のわたしと同じ気持ち。
苦しいけど、嬉しい。
その気持ちは座っても消えることはなく、逆にその感情は膨らんでいく一方だったの。