『絆』
1
「どきどきするね」
「う、うん」
つかさの言葉に私は頷く。
少し前に私達の誕生日をみんなが祝ってくれるという話が出た。
当初私は大学生にもなったんだからいいと断ったのだが、
結局いつも通りというか、多数決という名の数の暴力に負けて、私達の誕生日会をする事になった。
会場は現在唯一私達の中で一人暮らしをしているあいつの家に決まった。
そして今、私と双子の妹であるつかさはあいつの住んでいるマンションの部屋の前にいる。
「やっぱり無理だよ〜お姉ちゃんがインターホン押して〜」
「駄目よ、あんたがジャンケンで負けたんでしょ」
こればっかりはつかさのお願いでも無理。
私達があいつの家に来るのは今回が初めて、しかも男の子の家に行くなんて小学生の時以来、
その上想い人の家なのだからつかさが尻込みするのも頷ける。
私がもし今のつかさと同じ立場だったら、つかさと似た様な事を言ってると思われる。
「じ、じゃあ、一緒に押そ、ねっ?」
「もう、仕方ないわね」
つかさの懇願に折れたフリをする私だったけど、本音を言えば自分で押したい感情は強い、
本当に些細な事だけど、こういうことでもライバルに差を付けたい。けどつかさも応援したいとなかなかに複雑な女の感情というやつなのだ。
「よ、よし押すわよ」
ごくん
唾を飲み込んだのは私かつかさか。私達の指がインターホンに手が届くまさにその時
ガチャ
「お前達、人の家の前で何分間も何してるんだよ?………」
あいつが先にドアから顔を覗かせた。