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「つかさまだ残ってるのか?」
「シンちゃん!? なんで!?」
先に帰ったはずのオレが教室に戻ってきた事につかさは驚きの声を上げた。
「気になったからな。昼休み終わってから放課後までずっと何か考え事してたみたいだったし」
「えっ、そうかな………」
「あれでそう見えなかったらオレの目はどうかしてるな」
「そうなんだ………」
笑わそうとわざとらしく言ったけど、余り効果はなかったらしくつかさは伏し目がちに呟く。
当然いつもの柔らかな笑みはそこには存在しない。
「…………。
どうしたんだよホントに? 困った事があるんだったら、相談にのるぞ」
オレは自分で言った言葉に少なからず驚いた。
つかさとは知り合ってまだ半年も経っていない。しかも話し始めたのはつい最近だ
それなのに何故かオレはこの少女の事が放ってっておけなくなっていた。
「……わたしの大事な人がね…その人が、わたしのために自分のことを犠牲にしようとしてるんだけど………
でもわたしはどうしていいか分からないの………」
「……うーん…そうだなー………」
オレはうなだれるつかさを見てから、天井を見上げる。
いい加減なアドバイスはオレに悩みを打ち明けてくれたつかさに対して失礼だ
オレは慎重に言葉を頭の中で探す。
オレがもしつかさの立場だったら………
「オレだったら、そいつを殴るな」
「ええー!?」
オレの答えにつかさは目を開けて驚く。
「な、なんで殴るのー!?」
「そりゃあ勝手に犠牲になったら怒るだろ?」
「で、でもそれはわたしのために―――」
「そうしてくれってつかさが頼んだのか?」
オレはつかさの言葉を遮って尋ねる。
「…………」
「頼んでもいない事で勝手にするのは余計なお節介っていうんだ!!」
オレは勢い余って机を叩く。気付いたらオレは止まらなくなっていた。