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「こなちゃん」
「な〜に?」
わたしはあの人が教室を出て行ったのを確認してから、こなちゃんに話しかける。
「……さっきの話…本当?」
「さっきの? ……ああ、かがみの事?」
わたしは少しためらってから頷く。
「本人の口から直接聞いたわけじゃないけどね
でもつかさも気付いてたんでしょ?」
「えっ? ………」
こなちゃんの質問にわたしは考え込む。
そう言われてみると、あの人と話してる時のお姉ちゃんは凄く嬉しそうな顔をしてた。
「でも、そんなこと聞くとこみるとつかさも―――」
「ち、違うよー!! お姉ちゃんの様子が近頃おかしかったから…それで………」
本当は嘘…お姉ちゃんとわたしは十七年も一緒にいたんだから、普段とおかしかったらすぐ分かる。
まさかそんな理由なんて思わなかったけど………。
「なるほど、かがみシンのことになるとおかしくなるからね〜
そう言えばかがみ今日は理由つけて昼来なかったけど、シンと喧嘩したのかな?」
「……どうなんだろね………」
本当は嘘…お姉ちゃんはわたしのために今日教室に来なかった…でもそれは言えなかったの………
わたし親友のこなちゃんに二つも嘘付いちゃった………
「これは近い内にイベント来るかもね♪
結果的にかがみもシンとの仲が深まって嬉しいんじゃないの?」
「う、うん、そうだね………」
わたしはこなちゃんに曖昧な相槌で返したの………。
わたしどうしたらいいの?
だけどその言葉がわたしの口から出ることはなかったの………。