「みんな! ひよりんの漫画を見てごらん、上手いよねー本物っぽいし」

「そ、それはそうですが………?」

「だったら、ストーリーを注文したら………」



 自分の妄想をある程度具現化できる!



 ワタシは心の中で泉先輩の言葉の続きを代弁する。

 な、なんという、恐ろしい考え方!

 一見すると、妄想で消化するなんて、と思うかもしれない

 しかしそれは冷めた考え方

 妄想とは幻想、幻想とはファンタジー、ファンタジーとは魔法

 そして目の前の四人は魔法の中でも最も強力な恋の魔法にかかっている



 その証拠に泉先輩の言葉に三人は遠い目をしだしていたっス



 そして



「そ、そうね! うん! や、やっぱり使用料はちゃんともらっておかないと、こういうのが後々争いになるって事例もあるし!」

 この中で最も現実的なポーズを取っているかがみ先輩が頷く、となると後はもう雪崩式。



「え、えーとじゃあ、ちょ、ちょっと待ってね、わたし描いてもらいたいことが………」

 と言って、つかさ先輩はノートになにやら書き始める。

きっとこれはいつももらっているネタ帳よりも、クオリティの高いものになると思うっス。



「田村さん、本当によろしいんですか?」

 さすが高良先輩、もうされたことよりもワタシの心配とは、人間が出来すぎてるっス!

「あはは、いいっスよ、元々悪いのはワタシですから」

 というかそんな期待に満ちた目をされたら断れるわけないじゃないっスか

 これでも底辺とはいえ作り手、喜ばれるものを作りたいっスから





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