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「……え〜と、先程からの話を聞いてると、やっぱりアスカ先輩はあの『シン・アスカ』なんですか?」
「……ああ」
「そうだよ」
こっちを見てくる田村ひよりにオレとこなたは顔を見合わせてから頷く。
あっちの世界の映像がこっちにどこまで残ってるか知らないけど、恐らく田村ひよりは最初に会った時のこなたくらいの知識はあるはずだ。
そんなヤツを誤魔化すのは不可能だろう。
「お二人でワタシをからかってるってわけじゃないっスよね?」
「ハァ!? なんでオレが初対面のヤツをからかわなくちゃダメなんだよ!?」
「シン、どうどう」
田村ひよりに詰め寄るオレをこなたが止める。
「す、すみません!! で、でも、今の怒り方でアスカ先輩が本物の『シン・アスカ』ってことが分かりました」
オレのイメージはこっちでどう伝わってるんだ?
そう聞いて見たかったが、怖い答えしか返って来ない気がするので止める事にする。
「それで田村さん。シンのことなんだけど………」
「分かってます。小早川さん達には秘密っスね。特に風邪で弱ってる小早川さんにはこれは衝撃が強すぎますね」
田村ひよりの言にオレは渋々頷く。
「言っとくけど、オレがゆたかやみなみが嫌いだから話すなって言ってるんじゃないんだからな。誤解するなよ」
「はい。そりゃもう
アスカ先輩は年下の女の子には優しいのがデフォですから」
何か引っ掛かる言い方だな、それ………
「じゃあ、話もまとまったし部屋に戻ろっか」
そう言うとこなたはドアノブに手をかけた。