「おーキタ、キター! 一般人からのついていけないオーラが!!」

「仕方ないっス、我々は所詮アウトローっスよ!!」

 小早川さんの部屋で世間からの冷たい風にさらされてるのは、ワタシと小早川さんの従姉の泉先輩。

 ワタシから見舞いに行こうと言ったのもなんだけど、正直小早川さんと岩崎さんの間じゃワタシが浮くな〜と心配してたんだけど、

 まさか小早川さんの従姉の人がこっち系の人とは驚きっスね〜



「なんだ随分と大所帯だな」

 話が一息ついたところで、男の人が入って来た。

 恐らくはこの人が噂の小早川さんのお兄さん代わりの人っスね

 なんで分かるかって? そりゃ陵桜の学ランを着てるからっスよ!

 それにしても見た目はハンサムっスね〜目付きは鋭く、ふーむやんちゃ系かー

しかしこの黒い髪、赤い目、どっかで見たことあるような………?



「こなた、部屋で大人しくしてろよな」

「シン、心配してくれたの?」

 『しん』と呼ばれた男の人は泉先輩の問いに、当然といった顔で頷く。

「当たり前だ、ゆたかに風邪がうつったらどうするんだ?」

 『しん』さんのシスコン満開の発言にコケる泉先輩。

「ひどっ!!」

「はいはい怒るな、これやるから機嫌直せ」

 むくれる泉先輩に『しん』さんはあるものを鞄から取り出した。あれは………



「今月のコンプじゃん!? なんで?」

「お前が朝買って来いって言ったんだろ」

 泉先輩の問いに『しん』さんはぶっきらぼうに答えたっス。

「わざわざ買ってきてくれたの?」

「ち、違う! か、かがみとつ、つかさがか、帰りに本屋に寄るって言ったからついでに買ったんだ! ついでだ! ついで!」

 赤くなって否定する『しん』さん

 うひょーっ!ツンデレだー! すげぇ、ハイスペックっスねー!!



「ありがと、シン♪」

 嬉しそうに『しん』さんにお礼を言う泉先輩。

 その顔はさっきまでワタシと萌え談議をしていたものとは違い、凄く可愛い女の子の顔だったス

 ……ひょっとして泉先輩………



「みなみも来てくれたんだ。ゆたかのためにありがとな」

「……い、いえ………」

 お礼を言われるの慣れていない岩崎さんは顔を赤くする。

 はて? 岩崎さんもなんかいつもと違うような気が………。

「んで、そっちは?」

「田村ひよりさん、わたしと同じクラスなんだよ」

 『しん』さんの質問に小早川さんがベッドの上から笑顔で答える。

「初めまして田村ひよりです。小早川さんにはいつもお世話になってます」

 ホントに色々とお世話になってます

「この家に居候させてもらってる、アスカ・シンだ」

 ふーむ、やっぱりどっかで見たことあるような…それに声も聞いたことあるような………

 しかし『あすか』って珍しい苗字っすね

 某クォータのパイロットの様に普通は下の名前の気が…それだと『しんあすか』で…おかしいか…って! ………



「く、黒い髪、あ、赤い目、シ、シ、シスコン…まさか、あ、あのシン・アスカ!?」

 私は目の前の人物を思わず指差して叫んでいた。



 それがワタシとシン・アスカの出会いだったっス………





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