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「いや〜ごめんね」
いつものユル〜イ感じでこなたが部屋に戻ってきたのは5分くらい経ってからだった。
「何話してたんだ?」
「それは秘密だよ、ねえ田村さん?」
「は、はい! そうっス!!」
何故か声を裏返して答える田村ひより…何があったんだ?
「ではそろそろお暇するっス」
「えっ? まだ早いよ?」
あの後少し話しをしただけでひよりが立ち上がった。
ゆたかの言うようにまだ時間は5時にもなっていない。
「いや〜この後画材屋に寄ってくから」
「……じゃあ、私も………」
「いいよ、岩崎さんはもう少しいたげてあげて。小早川さんもその方が喜ぶと思うし」
立ちかけようとするみなみをひよりがおし止どめる。
「じゃあオレが駅まで送るよ」
「えっ、そんな、いいっスよ!」
「いいから、いいから」
変わったヤツだが悪いヤツではないし、何よりゆたかの友達だ。これだけでも送る理由になる
「えっ…でも………」
何故かひよりはこなたの方を少し見る。
「あっ、シンついでに卵お願い。今日は駅前スーパーが安いし」
「ああ、分かった。じゃあ行こうぜ」
オレはこなたのついでの頼み事に頷くと立ち上がる。
「あっ…はい。それじゃ先に失礼するっス。小早川さん明日学校でね」
「うん、田村さん、今日はありがとう。
お兄ちゃん、田村さんをお願いします」
「ああ」
オレとひよりはゆたかの笑顔に送られ部屋を出た。