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「分かった。ではシン頼めるか?」
「そうこなくちゃな!」
レイの返事に物凄く嬉しそうにするシン。
シンはわたしたちといる時はどちらかというと大人びた態度を取ることのが多いけど、今のシンの顔は年相応の顔をしてる。
男の子の顔、こんな顔を見れることになったのはレイのお陰、それが悔しくもあり、感謝したくもなる。
「その前にトイレに行かせてもらう。大丈夫だ、場所は知ってる」
案内しようと立とうとするわたしを止め、レイは一人でトイレに立った。
でもなんで家のトイレの場所知ってるんだろ?
「こなた、かがみ……あ、あのさ…今日なんだけど………」
レイの姿が消えてから、シンがわたし達に話し掛けてくるけど、なんか歯切れが悪い。どしたんだろ?
「分かってるわよ、レイ君と二人で遊んできなさいよ。夢だったんでしょ?」
「……かがみ…ありがとう………」
優しく微笑むかがみにシンは深々と頭を下げる。
やばっ! 今シンのかがみに対する好感度がめちゃくちゃ上がった気がする!
「気にしない、気にしない。わたし達とシンの仲じゃん♪」
「……こなた」
うっ…そんな感謝の目で見つめられたら胸が痛む。
「すまない、待たせたな」
「よし、行こうぜ!!
2人とも何かあったらオレの携帯に連絡しろよ! すぐに…は無理かもしれないけど、絶対に行くから」
そう言うとシンは本当に嬉しそうに出て行った。というかこの場合でもわたし達のことを心配するのは、いくらなんでもお人好し過ぎでしょ〜。
まあそこがシンの良いところなんだけどね♪
「ねえ、こなた…出かけるのもう少し後にしない?」
かがみは声こそわたしに掛けていたがその目はうっとりとして、別の世界に跳んでいた。
きっとシンのさっきの嬉しそうな顔に心奪われたんだろうね。
ただ幻想(ファンタジー)はわたしの方が得意分野ということを忘れてもらっては困る。
「そだね〜」
かくしてわたしも妄想を膨らませ、二人の少女が秋葉に出かけたのは予定を大幅に過ぎてからだった。