6
まさかこっちの世界で他人の口からオレの過去が話されるとは思わなかった。
普通は懐かしいと感慨にふけるところだろうが、それが恥ずかしい過去なら別だ。
そう、まるで今のオレの状態の様に。
「あ〜やっぱあの話、本当だったんだね〜」
「っていうか、あいつは昔も今もノートは他人任せか」
ああ、2人の視線が痛い………。
「そして、俺がその時ショックだったのはシンに追試の点数を負けた事だ!」
「ああ〜分かる、分かる。私も誰かさんに一夜漬けのくせに同じ点取られたときは納得いかなかったわよ」
レイの言葉に思い当たる節があるのか深く頷くかがみ。
「って、待てよ!お前あの時、今度は負けない、みたいな殊勝な事いってただろ!?」
「あの時は俺も見栄があった。
だが考えても見ろ、実技ならともかく筆記で負けたんだぞ! お前に!!」
「ああ〜」
「分かる、分かる」
「待て、お前ら!!」
レイやかがみにボロクソに言われるのは100歩譲って我慢するけど、こなたに言われるのは納得いかない………。
というか、なんでコイツらはこんなに馴染んでるんだ?さっきまでそれこそ殴り合いにまで発展しかねない雰囲気だったのに………。
「次の話は………」
「レイ! こんな事で時間潰すよりどっか行こうぜ!」
「ん? 俺は別にこのままでもいいが………」
「何不健康な事言ってるんだ?行こうぜ!!」
これ以上、言われると俺のアカデミー時代の事が次々と暴露されていっちまう。
それに………。
レイとこの世界で遊びに行くというのは俺の1つの願いだった。こんなチャンスはもう2度とない。
例えそれが記憶に残らなくても………。