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「……という訳で俺はこの世界に留まる為に一日この世界で暮らさなければならないんだ」
俺は改めて三人に説明をする。
「ほ〜ら言ったでしょ? レイくんはいい人だって」
「言ってないでしょうが!!」
調子の良い事を言う泉こなたに、拳を振るわせる柊かがみ。
隣を見るとシンがやれやれといった表情をしている。
そのやれやれがどういう意味かは聞いてやらないでおこう。
「あの〜レイ君…ごめんなさい…さっきは………」
「いや、あんな事を言えば怒るのは当然だ。シンを大事に思っているのならな」
「えっ、あっ、ち、違うわよ! さっきのはあなたの態度がちょっと挑発的だったんで、つい…わ、私はシンの事なんて、なんとも………」
真っ赤になって両手を振る柊かがみ…なるほど、これがツンデレか。
「ねえねえレイくん」
泉こなたがさっきとは打って変わって、人懐っこい顔で話してかけてくる。
確かに、こんな事を続けられたらあんな風にもなるか。
俺は笑いを漏らさないように泉こなたの方を向く。
「せっかくなんだからアカデミー時代の事を教えてよ」
「あっ、私も聞きたい」
「しかしさっきも言ったが明日になると俺と会ったという記憶はなくなるのだから、聞いても意味はないぞ」
二人の少女はそれでもいいとばかりに目を輝かせながら頷く。
恐らく少しでも知っておきたいのだろう。ならば俺は話さなくてはいけない、この少女達にシンを託すのだから。