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気が付くと回りはすでに真っ暗でした。本当にいつの間にかにです。
その上、私がいるところは雑木林の中、何故こんなところにいるのでしょうか?
周りを見渡すとつかささんがおられますが、そのつかささんも不思議そうに辺りを見渡しておられました。
そしてもう一人。あの方がおられました。
「シンさん、これは一体………」
私は途中で言葉を止めます。
私の声に振り向いたあの方が涙を流していたからです。
「みゆき、つかさ、なんでかな………。
何にも悲しくないのにさ、涙が、止まらないんだ………」
一度だけ、あの方が泣いておられるのを見た事があります。
その時の涙と今流しておられる涙は違うものでした。
悲しみの中にも嬉しさがあるようなそんな感じの涙です。
何故そんな涙を流されるのか、その理由は私にもつかささんにもあの方にも、誰にも分かりません。
それなのに何故でしょうか、もらい泣きをしてしまったのでしょうか。
目が熱いです、胸が熱いです。
何か大切なものを托された、そんな気がします。
「シンちゃん」
「ん?」
「わたし、ずっと、ずっ〜と、シンちゃんの側にいるから!」
きっとそれはつかささんも
「私もです。絶対に離れませんから」
「ああ、ありがとな」
あの方は涙を拭く事もされず、優しく笑って下さいました。