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「変わったよな、レイって」

「何?」

 意外な言葉だった。

 それは俺が目の前の人物に思ったものだったから。

「前はなんて言うかな、そんなにノリが良くなかっただろ、レイってさ」

「…………」

「いや、別に前のが良くなかったって言ってるわけじゃないんだ。

 ただ、なんていうか…こなた風に言うとユル〜クなったって感じかな」



 自分が変わったなんて、思っても見なかった。

 だが言われて見れば確かに、と思うところはある。

 これはシンや彼女達を見ていたから、というだけではない。

 俺にもシンにとっての彼女達と同じ様な存在がいた。

 常に俺と共に自分の家族を見守り、俺を自分の家族の様に接してくれた人が。

 その人はシンをこんな風にした少女の母親なのだ。

 俺がゆるくされるのも無理はない



「そうかもしれないな」

「今更カッコつけるなよ」

 シンが笑いながら肘でつついてくる。

 今の俺がもし、今のシンと行動を共にする事が出来たら本当の親友になれるのだろうか?

 だが、その疑問の答えを見つける事はもう叶わない。



「レイ、次はどこに行きたい?」

 このまま答えなくても、引っ張って勝手にどこかに連れて行くくらいの顔をしているシン。

 この想いに水を差したくはないが………。

 気付いたら気配は一つから二つに増えていた。丁度いい頃合だ。



「シン、どこか人がいないところがいい」

 俺の要望の意図が分からず、シンの瞳に疑問の色が生まれる。

 シンにしては初歩的な事を忘れている。それだけ俺といた時間が楽しかったと思っておこう。

「もうすぐ日が沈む」

 俺の言葉にシンは全てを察したらしく、顔を強張らせる。



 祭は終わるものだ





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