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『この電話は現在電波の………』



「なんで〜!?」

 お姉ちゃんに続いて、こなちゃんにも携帯が通じない。

 こういう時に限って〜! 二人とも秋葉原で遊んでる場合じゃないよ! あの人とわたしたちの一大事なんだよ!

 ちらっっと二人を見ると笑い合ってた。



 胸が痛い



 お姉ちゃんやみんながあの人と二人で話してるのを見てるのとは全く違う。

 だって金髪の人はわたしの知らない人で…でもきっと、あの人があんな笑顔を見せるくらいだから、きっと優しい人のはずなのに………。

 それなのにわたし金髪の人に嫉妬してる。

 こんなの嫌だよ………。好きな人の大切な人を嫌うなんて………。

 胸の痛みに加えて、襲ってくる自己嫌悪。これ以上ここで一人であの人と金髪の人の様子を見てたら間違いなく、心が折れちゃう。

 残るのは一人。もし電話に出なかったら………。



「お願いゆきちゃん」

 わたしは祈りながら、番号を押した。



『はい、みゆきです。つかささんどうかされましたか?』

 祈りが通じたのか、ゆきちゃんは一回のコールであっさり出てくれたの。

「ゆきちゃ〜ん!」

 わたしはゆきちゃんの声が聞こえる携帯を強く握り締める。

 やっぱりゆきちゃんは頼りになる。本当にゆきちゃんは女神様だよ〜

「ゆきちゃん、あ、あのね、シンちゃんが、き、金髪の美女と、あ、あ、あんな笑顔、

わたしには、見せてくれないんだけど、い、今、ゲームセンターに入っていってね。それでね………」

『つかささん、落ち着いてください。私も今からそちらに向います。駅に着いたらまた連絡します』

 完全にパニックになってるわたしの言葉でも、ゆきちゃんは瞬時に理解できたみたい。

 テキパキと指示を飛ばすと、携帯を切った。



「ふうっ」

 深呼吸を一つ。

 さっきのゆきちゃん、冷静にしてたけど動揺してた、気がする。

 ゆきちゃんでもそうなんだから、わたしが動揺しまくっちゃうのも無理ないよね?

 そう考えると、少しだけ心が軽くなる。

「よーしっ!」

 ひょっとしたら、この先もわたしが打ちのめされる光景を見つけてしまうかもしれない。

 それはとても困ることだけど、でも今はあの二人を見失わないようにしないこと。

 それが今のわたしにできる唯一のことだから





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