「オレちょっと先に帰るな」

 全く引きずってる様子を見せないシンに、わたしは疑いもなく頷いてしまった。

 これがグゥレイトで迂闊で残念な行為だった。



 つかさ、かがみ、みゆきさんと最後の登下校を歩き、家に着いたのはいい感じに昼を越えていた。

「ただいま〜」

「おかえりお姉ちゃん」

 家に着いたわたしをゆーちゃんが出迎える。

「シンは?」

 なんとなくな嫌な予感に、わたしは思わずゆーちゃんに尋ねた。



「あれ? どっかで待ち合わせとかじゃなかったの?

 帰ってきたらすぐに着替えて、出てちゃったよ」

 ゆーちゃんの言葉を聞くやいなや、わたしは外に出る。

 やっぱりというかなんというか、シンのバイクはなかった。



 思わせぶりな台詞

 シンにしては不自然なくらい明るい立ち振る舞い

 そしてわたしたちから離れる為とも思われる、先の帰宅



 センチメンタルになってる?

 普通ならそう思うかもしれない

 でも私は違う。

 そしてきっとつかさやかがみやみゆきさんもきっとこう思う。



 シンは自分のいた世界に帰るんじゃないかって



 でもどうやって?

 帰る方法が分かった?

 どんな方法?





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