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 違う

 違う

 ちがう

 ちがう



 そんなのはどうでもいいこと



 問題なのはシンが私達の前から消えてしまうかもしれないということ



 暖かくなってきたはずなのに寒気を覚える。

 これが大切な人が消えるということなのか

 思わずその場でしゃがみ込む。



 私まだシンに自分の気持ちを伝えてないよ

 最後としてもあれではあんまり素っ気なさ過ぎるよ



 どうしていいのかまるで分からない



「お姉ちゃん、お兄ちゃんすぐに帰ってくると思うよ、お財布は机にあったし………」

 シンが大切にしてる携帯はピンクの、今は亡き妹の携帯。

 だからこの世界での物はもういらないと判断したのか

 でもだったらなんでバイク? シン自身迷ってるのか?

 それともゆーちゃんの言った可能性だってある。



 何にせよまだフラグは完全に消滅していない

 まだ、まだ終わらんよ!



 私は立ち上がり鞄から携帯を取り出す。



 相手は頼りになるライバル達

 そしてその子らにはこの文面で充分なはず

 もともと今日のシンの態度がおかしいのは気付いているはずだから



 シンがいなくなった、探せ



 私は壊れるくらいに強く送信ボタンを押した。





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