卒業式も無事に終わりました。

 お恥ずかしながら、私は泣いてしまいました。

 いえ、正確には今も泣いています。

 周りの方もつかささんを始め、何人も泣いています。



 そしてあの方も

 泣いてはおられませんが感傷的に空を見ておられます。

 それは卒業式では当たり前の光景なのもかもしれません。



 でも一部の人は気がつくでしょう

 まるでそこだけが、空間が全く違うということに

 あの方が時折出される、闇。



 皆さんのお陰で最近ではほとんど見なくはなりましたがそれでも、時々そういったものをあの方は出されます。

 それだけあの方のおった心の傷は深いということでしょう



 あの方の心の傷は治るのでしょうか?

 泉さんや私達とこれからも一緒に過ごせば



「ところで皆様今日、この後のご予定は?」

 何を思われたのか泉さんが突然話題を振ってきます。

 泉さん的にはあの方に戻って来てもらう手段だったのかもしれませんが、完全に不意を突かれた私達は

「今日はこのまま家族で外食ね〜」

「家もそうですねぇ」

 言ってから、私もかがみさんもお互い目を合わせます。

 きっとお互いにこれ程失敗したと書いてある顔を見たことはないでしょう



「……そっかー」

 さすがの泉さんもここから挽回はできずに、どことなく遠い声でした。

 ……もはや頭が真っ白です。

 かろうじて、つかささんが凄い慌てた勢いで私達とあの方を見比べているのを見て、自分達がとんでもない事しでかしたことが分かりました。





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