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「繋がらない………」
わたしの役割は、あの人の携帯に連絡を入れること。
これが繋がれば、あの人がなにを考えてるのかきっと分かる。
わたしたちが考えすぎだってことがきっと
でもあの人は携帯には出てくれない。
というより電源を切ってるみたい。
本当に帰っちゃうの?
そんなことないよ! あの人は側にいてくれってわたしたちに言ったもん!
でもそれが心からそう言い切れないのは、あの人が元の世界を今でもとってもとっても強く想ってるのを知ってるから
「そんなの、ひどいよ………」
なにも言わなくて帰っちゃうのが
もちろんあの人はわたしのずっと側にいてほしい
危険なことはしてほしくない
きっとそれはみんな一緒
でも、帰るのが本当にあの人の決めたことで、それちゃんと言ってくれたら、わたしたちは納得する
だって大好きな人のやりたいことだから
反対なんてできない
だからお願い!
電話に出て!
ちゃんと話して!
「よーし!」
わたしはまたあの人の携帯に掛けた。