『……つかさですね。次はかがみ、みゆきで最後はこなたですね』

 シンの言葉に一名を除いて少女達の顔が青ざめる。

 中でも一人の少女の顔色は自身の髪の青を通り過ぎて、白くなっていた。



『なんでその順番なんだい? 良ければ聞かせてくれないか?』

 そんな失意の少女達の中に自分の娘がいるのを知ってか知らずか、『カモン・マイロード』は冷静にシンに質問をする。

『体力順ですね。この順番じゃないと全員は助けられませんから』

 まったく予想してなかったシンの回答に、『ドジりぼん』は万歳の格好のまま固まり、ほかの少女達も目を点にする。

 画面の『カモン・マイロード』の少女達と同じ気持ちなのか、苦笑を浮かべる。



『そういう答えじゃなくて…そうだなー一人しか助ける時間がなかったら、誰を助ける?』

 その質問は意外だったのか、シンは瞬きを素早く数回する。

『……そうですね…それだったら………』

 シンは一旦言葉を区切ると、コップに残った液体を飲み干す。

 今度こそ、の思いで少女達は画面を注視する。



『オレは四人とも同時に助けます』



 シンはやや乱暴気味にコップを置き、真剣な目でそうじろうを見る。

『い、いや、シン君それは………』

『なんですか!? 何がダメなんですか!?』

『だから、一人しか助けられないとしたら、って話なんだけど………』

『そんなこと誰が決めたんですか!?』

『いや、俺だけどさ………』

 飲んだ物の影響からか完全に目が据わり、いつも以上に頑固になっているシンに、

さすがに歴戦の諜報員も説得する術も持たず、ただ頭を掻くことしかできなかった。

『だいたい、オレがあいつらをそんな危険な目に合わせないですよ!!! オレが守ります!!! ぜった――』



 バタン



 飲みすぎたのか、それとも生来から弱いのか、シンは熱い言葉の途中で机に突っ伏した。

 取り残された諜報員『カモン・マイロード』は、シンを少しの間見てから、困った笑みを浮かべ、カメラの方を向く。

『以上!諜報員の報告を終わります!』



 プツン



 諜報員の言葉と共に画面はブラックアウトする。

 しかしそれで収まらない者達がいた。ビデオを見ていた少女達である。

『なんじゃそりゃー!!!?』



 少女達の叫びが会議室に響き渡った。





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