「ラングレーさん、少しお聞きしてもよろしいですか?」

「はいどうぞ」

 最初にこなたの名前を出したのが効いたのか、四人はわりかし早い段階で打ち解けることができた。

 もっともシンからしたら、いつもの会話を少し距離を遠くして話しているという不思議なものであるが。

「ここにもうお一方、アスカという方はおられませんか?」

「ああ、アスカ・シンさんですか? あの人は厨房とか雑用とかなんで、店内には出てこないんですよ」

 前もって考えていた答えで返すシンに、三人は疑うどころかがっかりした表情をする。

 シンにも会えず、こなたとも話しができないのだったら、自分達は一体何をしにきたというのか。



「アスカさんってみゆきさんの彼氏さんですか?」

 ここで会話を別の方向に持って行くのがシンからすれば最良の選択なのだろう。

 しかし自分が彼女達にどう思われているかという好奇心が半分と、

少しでも彼女達の表情を明るくしたいという思いが、シンにこの質問をさせた。



「いえ、そんな………ですが、大切な人です、私の、いえ、私達にとっての」

 つかさも、そしてかがみすらも何も言わず髪の毛をいじっているのだから、みゆきの答えは彼女達の総意なのだろう。

 もちろんその答えはシンにとっては嬉しくあるものであり

「あれ? ラングレーさん顔が赤いけどどうしたの?」

「な、なんでもない! です!」

 とても恥ずかしくて、聞くに耐えれるものではなかった。



「そういえば、こなたお姉様もいつもアスカさんと一緒にいますけど、あっちも仲が良いんですよね」



 ピシッ



 しかしシンの言葉で一転、その空気はいきなり吹き飛んでゆく。

 四人の中では抜け駆け禁止が明文化されている、なのにこなたはやはりというなんというか、

二人の時はシンと必要以上に仲良くやっている。

 もちろんそれが三人としては面白くない、そして今の状態がシンとしては全くわけが分からない状態。

 せいぜい、こなたの奴また何かしたのか? くらいにしか考えがめぐっていなかった。





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