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「それでそれで? みゆきたちはどうしたの?」

「はい、それは」

 笑いながら聞いてくる母ゆかりに、負けないくらいの思いだし笑いを浮かべるみゆき。

 いつも笑顔を絶やさないみゆきであるが、今のように転げ回りそうな笑みを見せるのは珍しい。

 これも一人の少年と出会ったからであろう。



「ちゃんと許してあげました。もちろんかがみさんもつかささんもです」

 その時のシンの顔はみゆきの記憶に一生残るであろうほどに、呆気に取られたものであった。

「ふふ、おほっ、ごほっ、す、すみません」

 笑いすぎて思わずむせるみゆき。

 こんな姿はゆかりすら見たことがない。



「いいな〜若いって」

 そんな娘の姿にゆかりはいつも以上に目を細める。

 男親とは違い、娘が女性へとなることは嬉しいものである。

 もっともゆかりからすれば、いいおもちゃが一つ増えたという面も存在するのだが。



「でもアスカちゃんにしたら戦々恐々ね」

「えっ、どうしてですか!?」

 今度は打って変わって目を見開けるみゆき。

 こんなみゆきの姿もまた珍しい。そしてそういう時はほぼあの少年が絡んでいる。



「男の人はね、女の満面の笑みってのが一番怖いのよ」

「へー」

 ゆかりの言葉に何度も頷くみゆき。

 完璧超人と呼び声高いみゆきも、恋のことに関しては母の方に一日の長があるといえる。



「でしたら、シンさんにメールを打って誤解を解いておかないと」

 ぱたぱたと自室に駆け戻るみゆき。

「がんばってね〜」

 その背中に手を振るゆかり。

 そんなことをすれば余計にシンが恐怖におののく可能性があるのだが、それは告げないゆかり。

 いつも娘が自分で答えを見つけるのを楽しんでいるのを知っている母だから。





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