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「グラビアアイドルって大変なんだね………」
「しょせんあんなのちょっと顔が良いだけって思ってたわ」
げっそりした言葉のこなたにかがみが同じくやつれた顔で答える。
ちなみにつかさとみゆきに至っては喋る気力もないのか、ぼんやりと上を見上げてる。
「だいたい使われるのは一枚じゃん!
パッとやってパッと終わればいいのに〜」
こなたがなおもぶーたれるが、本を出す側もなるべく可愛いく、なおかつ手に取ってもらえる表紙にしなければ消費者は買おうとしない。
増してや今回はコラボ企画なのである。滑りでもしたら、コラボ相手にも平謝りなのだ。真剣になるのは当然だった。
「こういうのって合成とか出来ないのかな? ……わたし体がもう痛いよ〜」
「つかさ、ナイスアイデア! わたし、監督に掛け合ってくるよ!」
「やめなさいってそんなん出来るんだったら、こうしてわざわざ集まって撮らないわよ」
だが、まあそんな大人の都合は子供と大人の境にいる少女達には理解は出来るが、納得出来ないものであった。
かといってこのまま撮り続けても、今までのより質が落ちるのは誰の目にも明白だった。
撮影は暗礁から沈没に成りつつあった。
「……すんません、ここで友人が撮影してるって聞いてきたんですけど〜」
一応小声になってるものの、気を遣うことなく堂々と撮影場所に入ってくる少年は馬鹿なのか、大物なのか。
彼をよく知ってる人物なら、こう言うだろう。
空気が読めてないだけ、と
「シン!」
スタッフが少年を止める前にこなたを筆頭に少女達が少年に近づく。
「シンちゃん、わざわざ来てくれたの?」
「ば、ば、ば、馬鹿言え! 近く寄ったからたまたまだ、たまたま!」
「ですが、その買い物袋は?」
「こ、これは、や、やっぱ手ぶらじゃ悪いと思ってだな、さ、差し入れを………」
「素直じゃないわね〜」
シンが持ってきた買い物袋は明らかに近辺にない店のものだった。
恐らくシンはコンビニよりもわざわざ種類が多いスーパーに入って買ってきたのだろう。
それはなんのためか?
それが分らないほど少女達とシンの付き合いは浅くない。