『表紙撮影』
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都内某所。ここである撮影が行われようとしていた。
それは
「いや〜制服なんて久しぶりだね〜」
「でも懐かしいって感じはしないよね〜卒業したのが半年前だからかな〜?」
「それもあるでしょうけど、この制服私達のじゃないってのもあるんじゃない?」
「そうですね、それにブレザーというのも新鮮ですね。中学の時はブレザーだったのですが………」
そう。ここでまさにらき☆すた7巻(ゲーマーズ限定Ver.)のカバーの撮影が始まろうとしていた。
もっとも本人達にはその自覚がないのか、それともすでに原作をトレーズしているのか、緊張感のない様子で駄弁っている。
「そう言えばあいつは来るの?」
「一応伝えたけど、来れるか分からないって」
「忙しいのかな〜?」
「学部によりますが、理数系は何かと忙しい大学が多いようですね」
4人の顔に残念感が漂う。
高校を卒業してから5人の進路はバラバラ、かがみとつかさ以外は住む場所も違うため全員が揃って会える事は滅多にない。
今日だってスケジュール調整を重ねに重ねてようやく撮影にこぎつけたのだ。
「まあ、撮影するのはわたし達四人だけだしね〜」
「来ても意味はないわよね」
「そ、そうだよね………」
「ここは大学からの帰り道、というわけでもありませんし………」
諦め、というよりは自分に言い聞かせるかのように、4人は会話を続ける。
しかし残念ながら待ち人はフラグブレイクの異名を持つ男、噂をしても全く来る気配はない。
「さて、そろそろ始めようか」
撮影監督の言葉に少女達は席を立った。