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「ハッ、ハハ、ハックッショーン!!!」
どうやら花見の場所取りをしている間に、うたた寝してしまったらしい。
日が出ているとはいえ今くらいの気温だと風邪を引くかもしれない。その点コーディネーターは便利だ。
でもだったらなんでくしゃみなんかを?
「これか」
散っていた桜をオレは右手で掴む。
恐らく花びらが気管に入ったんだろう。
再びオレは上体を寝かせる、本当に真上に桜が咲き誇ってる。
その綺麗さをやっぱり自分は信じられない
なぜならオレは1年前まで確かに戦争をしていたからだ。
ところがなんの運命からか、こんな平和な世界でユル〜イ人達に会ってしまった。
元の世界に帰りたい、前よりもそれを強く願わなくなっていった。
でもだからといって、この世界に住みたいのかと聞かれると答えられない。
元の世界にもどうなっているかが気になる人がいるし、国もある。
そして何よりここの世界の人達とは何もかもが違いすぎるから
オレがしてきたことがこの世界の人達、中でもあいつ達に知られたらどう思われるのか、
それを考えるとやっぱりこの世界にオレの居場所なんてないと思えてくる。
だったらなんでオレは、もっと親しくなろうとしてるんだ?
オレは元の世界に帰る方法を必死になって探さなきゃいけないんじゃないか?
「シーン!」
桜の木が風によって揺れてる音しか聞こえない中で、明るい声が聞こえてくる。
振り向くと、そこには4人の少女達が少し遠くにいた。
不安と安心
オレはどんな一言を掛ければいいんだ?
「あんたねー」
そんなオレの葛藤に気付いてないのか、かがみが小走りに駆け寄ってくる。