なんで? なんでいるの?



 私はコンビニに入って何度目か分からない自問を繰り返す。

 こんな格好で近所のコンビニにいけないと判断し、ちょっと遠目のところに来たというのに



 なんで? なんでいるの!?



 レジのところを盗み見ると、一人の男性が立っている。

 見覚えがある、もちろん友達なんかじゃない



 当てはめるとすれば『天敵』

 私の胸の内を勝手に読んできたり、私の行動を見て生暖かい視線を向けてきたりする、『天敵』



 こんなダルマストーブみたいな格好を見られたら



『なんだよ、その格好!?』



 浮かぶのは『天敵』が笑い転げる姿。

 考えただけでも、寒気が増す

 かといって、こんな寒いのにわざわざ別のコンビニには行きたくはない



 大丈夫



 あっちだってきっとやっつけ、たかだかバイト。

 フードを外さず、声も出さなければ、きっと大丈夫



 私は小さく何度か頷くとレジへと向った。

「? こちらでいいですか?」

 雪見大福を一瞬不思議そうに見てから聞いてくる『天敵』に、私は無言で頷く。

 どうやらこっちには気付いていないみたい。

 後は………



 私はそこでようやく思い出した、こうが注文を頼んだ『カレーまん』と『あんまん』を頼まなければいけないことに………





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