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どうやら皆は放課後、ゆたかのクラスで話し合いをするらしい。
それが分かったのは別に尾行とかしたわけじゃなくて、普通にこなたが言ってきた。
こなたの方は今回のことで別にオレを除け者にする気はないらしい。なんか負けた気がするけど………
『あんたバカねー別に男子だからって参加できないわけじゃないでしょ?
人手はいくらあってもいいんだし、絶対に後悔しちゃうわよ』
休み時間に言われたかがみの言葉にオレは目の前が明るくなった。
確かにオレはダンスの方に参加するのは色々と難しい。
だけど別に踊るやつだけが全員じゃない。
MS乗りもいれば、整備士だっているし、オペレーターだって必要だ。
オレが縁の下になればいい、それだけのことだったんだ
とはいえさすがかがみ、きつい言い回しは相変わらずだけどオレがただ意地になってるだけって見抜きやがった。
オレだってゆたかや皆と何かしたい。この世界で生きていくと決めたんだからなおさらだ
「でもどんな顔で行ったらいいんだよ」
あれだけ昨日の夜反対しておいて、いきなり輪の中に入れるわけがない。
かといってこのままただ皆が頑張っているのを、遠くで眺めてるのは絶対に嫌だ。
ただ勢いに任せて突入すると、状況が悪化するのは経験則から分かる。
「先輩、こんなところで何してるんっスか?」
「うわぁぁ!?」
最近自分が腑抜けになったと感じることが多くなった。
今回だってそうだ、教室には全員すでに揃っていると思って、人数をちゃんと確認しなかった。索敵なんて基本中の基本なのに。
次に背後からの気配に全く気づかなかった。レーダーを見てないなんてもはや論外だ。
もっともこなたにこういった話をしたら、嬉しそうに頷くんだろうけど。
「……あの〜先輩?」
「悪い、いきなり大声出して………」
おそらく遅れてきたチア参加者の1人であろう、ゆたかの親友である田村ひよりにオレは思いっきりバツが悪い顔で謝った。