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「すみません、遅くなりまして」

 ワタシが教室に戻ってくると、すでにみなさんはおそろいだったっス。

 知ってる人が大方っスけど、中には知らない先輩らしき人も。



「よろしくお願いします」

「おう、こっちこそな〜」

「よろしくね」

 まずは無難な挨拶を交わすワタシ達。

 やっぱりというかなんというか、小早川さんが声を掛けただけあって人が良さそうな方々が揃ったみたいっス。

 そしてなんというか、高良先輩に負けず劣らずの高スペック!

 確かあの人はミス陵桜に輝いた柊先輩だし、隣にいるのはいかにも人が良さそうな幼馴染系に

さっきのお二方は元気系に、やまとなでしこ系。

 何コレ? これなんてギャルゲ?



「おいひより、入って良さそうか?」

 ドアの後ろからこっそり聞いてくるアスカ先輩。

 あれ? この人本当はガンダムの主役だよね? それともガンダムって実はギャルゲ?

 それに前々から思ってるんスけど、下の名前で呼んでくるのは、恥ずかしいからできればやめてほしいんっスけど



「ちょっと待ってくださいね、みなさん、実はもうお一方参加したいという方が」

「ちょっ、ひより! オレはそんなこと一言も言ってないぞ!」

 教室の前でいかにもって感じでウロウロしてたのに、その台詞はないっスよ〜

 もっとも、そっちの方が扱いにくいというワタシのイメージのシン・アスカに近い。

 観念したか教室に入ってくるアスカ先輩。



 その時教室の雰囲気が変わったっス。

 いや、別に悪くなったというわけじゃなくて

 反対されていた小早川さんが嬉しそうにするだけじゃなく、あの岩崎さんもあまり見たことないレベルまで微笑んでる。

 そして先輩方。泉先輩はにやにやしてて、高良先輩は来るのを待ってたかのような笑み。

柊先輩は関係ない顔してるけど、出してる雰囲気がすでにツンデレ。

 これなんてエロゲ?



 やはり少なくともワタシが知ってる『シン・アスカ』はここまで人に歓迎されるキャラクターじゃないんっスけど………。



「田村さんもお兄ちゃんも、とりあえず座って座って!」

 よっぱど嬉しいのか、珍しくハイテンションな小早川さんに勧められてワタシとアスカ先輩は席に着いたっス。





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