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『で、あきら何時くらいに学校に着くんだ?』
「多分、7時くらいに会場入りですかね〜でもどうして?」
『オレ達がオープニングセレモニーでチアダンスやるんだよ、あっオレは裏方だけど』
「なるほどプロの批評が欲しいと」
『いやそうじゃなくって』
あっさりと流さないでほしいもんである。
『きっと良いできになるからさ、あきらにも見て欲しいかな、なんて』
「ほほ〜」
なんだかんだでわたしは芸能人、プロのセレモニー集団の講演を何回も間近でみたことがある。
そんなわたしに見ろというのだから、よほど完成度に自信があるのか、それともただ見てほしいのか
『いやほんと大変だったんだぜ、今も間に合うかどうか分からないけど』
あっ、本当にただ見てほしいんだ〜すっごく小さい子どもみたいにテンションあがってる。
「じゃあマネージャさんに言って少し入り早くしてもらいます
絶対見ますから、間に合わなかったって言わないでくださいよ〜」
『ああ』
慣れた社交辞令ではなく、本心を伝える。
相手は、『先生』は、普通にいつものままでわたしと向き合ってくれる限り。
「では当日に、話せないかもしれないけど」
『ああ、おやすみ』
そうしてわたしたちは電話をやめた。
ああいった以上、嘘はつかない『先生』はきっとわたしのイベントも見に来てくれるだろう。
そういえば『先生』に『小神あきら』の雄姿を見せるのは初めてだ。
自分の素を知ってる人に見られるのは、やっぱりプレッシャーを感じる。
ただ、見せてやろうとも思う
アイドルのわたしを
「やってやろうじゃん!」
わたしはミニライブでお披露目の新曲の作詞に手を掛けた。