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フォーメションも決まって、いよいよ放課後の練習も本格化。
やっぱり今までと違って前列、後列と分けてあるから難易度が上がっている。
そんな中、あいつがどこか心ここにあらず状態。
ダンスのフォーメション決めという大役をやって、燃え尽きたというのもあいつに限ってないはずだし。
「シン、ちょっと」
今日唯一のダンスリーダー、みなみちゃんに許可を取って私はあいつを教室の外に呼び出す。
「なんだよ?」
「飲み物よ、一人じゃ持ちきれないでしょ?」
一応外に出る名目はこれ。
私のただの気のせいかもしれないのに、練習を抜けるわけにはいかない。
外はすっかり暗くなっているものの、ほとんどの教室には明かりがついている。
「どうしたのよ、ぼ〜として」
「あ、ああ、ちょっとな………」
否定もせずに私の鎌掛けにあいつは簡単に乗ってきた。
歯切れの悪い口ぶりからも真剣な悩みというのは理解できた。
「オレこの役やれてると思うか?」
「はぁ!?」
自販機からドリンクを取り出すのを中断して、あいつを睨む様に見る。
どうやら冗談や軽口の類ではないらしい。
だから全く笑えない。
「スケジュール管理に、皆への連絡、練習の枠決め、その他雑用、充分でしょ?」
「…………」
「どうしたのよ?」
私を含めて、誰もあいつの働きに不満なんてなかった。いちいち口に出さないけど皆感謝してるはず。
そりゃあ完璧とまでは言わないけど、それはいくらなんでも自分へのハードルが高すぎるないだろうか?
「オレはなんにも気付かなかった、みゆきが困ってることもつかさが頑張ってることも
計画だって、こなたやお前が実際はフォローしてくれなきゃ、穴だらけだったし」
「………シン」
「やっぱりみゆきやお前に任せた方が良かったんじゃないかって」