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「というわけで、これでいこうと思う」

 つかさの悲鳴だかなんだかの声が終わってから、オレはホワイトボードの方を向く。

 そこにはしっかりとオレが言った通りに、各自の名前が書いてあった。



「何か異論があるやつは?」

 小さく頷いたり、じっと自分の名をみたりと反応は各自で違うけど、どうやら反対意見はないらしい。

 あるとしたらまだおろおろしてるつかさだけ



「ほらつかさ」

「あっ、う、うん」

 かがみに促されて、つかさは徐々に落ち着いていく。

 でもその顔にははっきりと不安と疑問があった。



「……シ、シンちゃん、わ、わたし本当に………?」

「ああ、そのつもりだけど」

 震える声で聞いてくるつかさに、オレの方が自信を失ってくる。



 本当につかさはできるのか?



 でもその事で誰もオレに意見を言ってこない。

 辛らつな事を言うことがあるこなたやみなみやみさおも、またつかさの双子の姉のかがみも。

 それは皆がつかさならやれると思っているから。

 疑念を抱いてるのはオレとそして当のつかさだけ。

 それがこの場合どっちが正しいのか

 つかさの練習に対する取り組み方、今朝見せたダンスの完成度からは一目瞭然だ



「シンちゃん、わたしにできるかな………?」

 オレがここでNoといってしまったら、つかさは納得してこの場所を辞退するだろう。

 でもそれは、そんなことを誰も望んじゃいない。

 つかさが頑張ってるのを皆は知っているから

 そしてこう聞いてくるのはつかさも迷っているからだ

 だったらオレがするべきなのは



 心を静め、つかさに対する妙な先入観を脳から追い払う。

 今この瞬間でチアダンスの完成の精度が決まる



「ああ、つかさならできる。頼めるか?」

 オレの言葉を聴いた瞬間に少し下がっていたつかさの顔が上がる。

 その瞳には不安よりも嬉しさ、誇らしさが勝っていた。



「頼めるか?」

 そしてオレはもう1度つかさの背中を押す



「うん、頑張るよ!」

 つかさは頷く、いつもみたいに明るく朗らかに





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