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一端家に戻り、晩飯を食べたオレとこなたは外へと出かけた。
徒歩で行く様子からして遠いところじゃないみたいだけど………?
「シンってさー」
「ん?」
「結構補正掛けて人見るよね〜」
相変わらずこなたの言葉は妙な用語を取り入れてくるから分かりづらい。
ただ雰囲気から褒めてるわけじゃないのは分かった。
「つかさは確かにそりゃ運動が苦手だよ
何もないところでも転ぶし」
「だろ。だからやっぱり、その…心配なんだ」
その上つかさは引っ込み思案のところがある、
もしも前列なんて大役をやらせたら緊張しすぎて、ひどい失敗をしてしまうかもしれない。
それでつかさが肉体的、精神的にダメージを受けてしまったとしたら、オレはそんなつかさを見たくはない。
「シンはインパルス乗った時どうだった?」
「そりゃあ上手く扱えたさ」
「そうだねー同型機どころか、型落ちの量産型に圧倒されてそりゃあ見事だったね〜」
オレの見栄をこなたはあっさりと看過し、皮肉を浴びせる。
相変わらずなんで元いた世界でのオレのことを知ってるんだ?
「分かったよ。……そりゃあ聞こえてきたさ『インパルスはレイの方が適任じゃないか』って、
実際オレもそうなんじゃないかって思った時もあった」
「でもそんなシンが、先の大戦で負け知らずの機体を落とせた。それはどうして?」
「……相手の攻撃、回避パターンを研究して、自分がその通りに動けるかをシミュレートで何度も―――」
「そう! 練習した!!」
「うるさい、近所迷惑だぞ!」
だけどこなたはオレの嗜めにも笑顔で返すのみだった。
そして今までオレの少し前を歩いていたこなたは、横にずれる。
どうやら連れてきたい場所についたらしい。
何度か来たことがある、決して広くない公園。
そこの街頭が当たる場所。そこには見慣れた2人がいた。
「今のはちょっと遅いかなー?」
「というか、全体的にちょっと気持ち早目ね」