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「お前とかがみはいいとして、みゆきは練習時間が」
「いえ、そうとなればというのはおかしいですが、今以上に全力で練習させていただきます」
こうなるとみゆきは譲らない。
そもそもオレの弁舌でみゆきを説得するのは難しい。
ただみゆきはオーバーワークさえ気をつければ、心配はない。
ただそうなるとやはり問題なのは運動が苦手なつかさだ。
「でもそしたらつかさが悪い意味で目立つだろ?」
つかさに恥ずかしい思いをさせたくはない。
つかさだって頑張っているんだから
「はぁ!? ウサ目お前何言ってんの?」
「な、なに?」
みさおやみなみだけでなく、みゆきやゆたかもオレを信じられないような顔でこっちを見ている。
オレが何か間違ってるのか?
「まあまあ、この場につかさもかがみもいないしさ、こういうことは本人に聞かないと」
「……確かに、そうですね」
「それじゃあ、今日のところはこれくらいにしましょう」
こなたの仲裁によって、話し合いは終わりに向かっていった。
皆、興奮状態になってたからこれ以上は感情論が優先されそうな雰囲気になってたしな
とはいえある程度の形は見えてきたし、今日の夜にでもまた考えれば、ほぼフォーメーションの件は落着だろう。
ただやっぱりつかさを前列に持ってくるのは………。
「シン」
「ん」
オレが悩んでるのに気付いたのか、席を立つ時にこなたが声を掛けてきた。
そういえばさっきのもオレに助け舟を出したと思えなくもないけど………。
「ちょっと家に帰ったら付き合って欲しいんだけど」
「なんだゲームか?」
「違うよ、出かけるの」
「どこに?」
「い・い・と・こ・ろ♪」
こなたは悪戯を閃いた時の顔で指を振るのだった。