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 オレだって戦場で背中を任せるのは全然知らない部隊のやつより、アカデミーから一緒に訓練してきたやつとの方がいい。

 気持ち的にもだし、それは戦果という結果でも実感できる。

 だからみなみのことを否定しないし、納得も出来る。

 だけど

「お前も後列にいったら、誰が前列やるんだよ!?」

「へっ、そんなん決まってんじゃねえの?」

 みさおの言葉に頭痛を覚える。

 オレが書いてきたノートのどこに、そんなのが書いてあるっていうんだ。

 それが決まっているんだったら、今までのやりとりはする必要がない。



「前はちびっことメガネちゃん、で柊達だろ?」

「なっ!」

 あまりにも簡単に言ってくるので、本当にそうなんだろうかと錯覚におちいってしまうけど大丈夫だ。他の皆もポカンとしてる。



「わ、私もですか?」

「うん、だってさーそもそもこのチアダンスって、この四人がいなかったらしてないだろ」



 みさおの本当に今更過ぎる言葉

 今更過ぎて忘れていた、みさお以外の全員が



「……私が陵桜学園に入学したのはみゆきさんがいたから、そしてそこでゆたかとひよりに出会った」

「わたしは柊と同じ組になってなかったら、ぜってぇここにはいなかったよなー」

「わたしもこなたお姉ちゃんがいなかったら、先輩達とお知り合いにはなれませんでした」

「かがみさんは一年生の時に委員会で一緒になって、仲良くしていただきました

 そしてその縁で同じクラスのつかささん、そして泉さんともお近づきになることができました」

「ってことは、わたしたちがやる流れってことになるねー」



「いや、ちょっ、待てお前達!」

 皆からの、お前少しは空気読め、という視線をもらうことになるけど、

さすがにオレもあっさりと首を縦に振るわけにはいかない。

 確かに気持ちは大事だけど、それだけだったら限度がある。





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